さびときどききじ

静岡県掛川市の、きたがわ動物病院の獣医師によるブログです。業務とは無関係な記事の方が多いかもしれません。子供3人、猫3匹を養いつつ、木工、庭づくり、料理など、手作りにも果敢に挑戦しています。

松ヶ岡にて

こんにちは。

いよいよ師匠も走る12月ですね。

今年の紅葉は遅めのようで、半日陰の自宅の庭のモミジは最近になってやっと上の方から色づいてきたくらいです。

師走気分でついつい、「早くしないと年が明けちゃうぞ~」とせかしてしまいそうになりますが・・・自然の理ですので穏やかに見守りたいですね。

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

お知らせが遅れてしまいましたが、

明日12/8(土)は都合により、17時半までの診療になります。

急な変更で申し訳ありませんがよろしくお願いします。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

さて、掛川市民の皆様は「松ヶ岡」をご存知でしょうか。

掛川市の比較的中心部近くにある、江戸末期の豪商山崎家の邸宅です。

掛川市の指定文化財で、庭の紅葉鑑賞のため現在一般公開(~12/9)されています。


f:id:kitagawaanimals:20181206215936j:image


f:id:kitagawaanimals:20181206215917j:image

住宅街の中にひっそりとあり、数年前まで個人の所有だったものがH28年に市の文化財になったばかりなので、おそらくあまり知られていないのではないかと思います。

 

実際に行ってみると、正面の駐車場から建物に続く門(長屋門)が見えるだけで、ぱっと見にはどういう施設なのかわかりづらいのですが、門の中はとても広く、お庭だけでなく建物(主屋)の中も自由に見学することができます。

 

 

建物は、江戸時代の主屋と明治時代に増築された奥座敷棟の中をひととおり見学できます。江戸時代のものは純和風な感じですが、廊下でつながっている明治時代に建てられた奥座敷棟は少し趣が違っておもしろいです。

こちらがその奥座敷棟の廊下。
f:id:kitagawaanimals:20181206215909j:image

木造ですがアーチ状の天井が洋風の雰囲気を出していて、江戸から近代へと変わっていく絶妙な時代感が素敵でした。そのほかにも、随所に当時としては斬新なデザインが見られます。

 明治天皇に宿泊所として提供されたとのことで、その場所もきれいに保存されています。

 

こちらは台所。
f:id:kitagawaanimals:20181206215926j:image

土間にレンガのかまどがそのまま残されています。ガスの配管が上に見えたので、ガスを引いてからは使われていなかったのかもしれませんが、ススの跡まで残っています。


f:id:kitagawaanimals:20181206215943j:image

建物はまだ文化財として整備しはじめたところのようで、柱には整備中のものでしょうか、チョークのメモ書きが残っています。

 

文化財としてはまだまだこれからなのでしょうが、逆に言うと歴史的建造物の整備される前の姿が見られるというのも、とても貴重な体験です。

ただ、見学すれば一目瞭然ですが、屋根瓦や床板等々、痛みがはげしい箇所も多そうで、早々に保全修復が必要そうです。しかし今現在、寄付を募っていたりボランティアの方が管理をお手伝いされていたりと、資金面で課題があるようです。

見学する限り、掛川城に匹敵するくらいの文化財としての可能性を感じますので、ぜひ保全して後世に残していきたいですね。

 

さて、お庭の方はというと、

 

f:id:kitagawaanimals:20181206220610j:image

主屋の広縁がお庭にむけて解放されていて、自由に散策できます。

純和風で、赤松や広葉樹がとても美しいです。

紅葉はピークまでもう少しといった感じでしょうか。

 

このお庭、特徴的なのが・・・

f:id:kitagawaanimals:20181206223206j:image

建物とモミジの間に溝があります。

この溝は昔はなんとお濠だったそうです。敷地をぐるりと巡るとわかりますが、

建物をコの字に囲んで敷地の中にお濠の跡があります。

 豪商ともなると、お城でなくてもお濠をつくっちゃうんですね。

 

 

f:id:kitagawaanimals:20181206223237j:image

お濠にかけられていた橋の骨組みも残っています。

 

こちらは増築棟の裏手。

f:id:kitagawaanimals:20181206223358j:image

お濠をレンガのアーチでまたぐようにして建物が建てられています。

レンガの上の和風建築。なんともシュールです。

 

お濠の水源は逆川だそうですが、現在は水はありません。

ボランティアの方のお話では、昔逆川が氾濫したため、川底を掘って水位を低くしたそうです。その関係で今はお濠には水は入らないようです。

・・・お話を聞いているとブラタモリの世界のよう・・・

タモリさんになった気分で散策してみるのもいいですね。

建物もお庭もただ古式ゆかしいだけでなく、静かに個性があってとても興味深い場所でした。

 

 古き良き建物にはまるで興味のない次男(海好き)が一番興奮していたのは、


f:id:kitagawaanimals:20181206220604j:image

ホタテの殻がたくさん張り付いたままの、庭の石でした。

この庭が昔海だった・・わけではないでしょうが、何か意義があるのか、遊び心なのか、偶然なのか・・・。タモリさんなら知っているのかもしれませんね。