さびときどききじ

静岡県掛川市の、きたがわ動物病院の獣医師によるブログです。業務とは無関係な記事の方が多いかもしれません。子供3人、猫3匹を養いつつ、木工、庭づくり、料理など、手作りにも果敢に挑戦しています。

子猫の来院が増えてきました その2(風邪について)

前回に引き続き、子猫に多い病気として猫風邪についてご紹介します。

 

子猫は、産まれてしばらくの期間は、

お母さん猫の母乳にふくまれる「移行抗体」により病原体から守られています。

しかしながら、生後2カ月を過ぎる頃になるとこの抗体が徐々に低下してきます。

そこで、体内の抗体の量が下がってくるこの頃にワクチンを接種することで、再び抗体を自分で作る事ができるようになります。

 

猫さんは通常、良く食べてゆっくり寝られる快適な環境で暮らしていれば、ネコ風邪に感染してもきつい症状を起こすことはあまりありません。

しかし問題となるのは、栄養状態が悪く、寒さや暑さなどの様々なストレスを受け、なおかつ抗体が減ってきている生後2カ月前後の子猫達です。

 

猫風邪の原因となる病原体は複数ありますが、ほぼ共通する症状として、

鼻炎:鼻水とくしゃみが特徴的な症状です

結膜炎:あかんべえをしたときに見える粘膜が結膜です。ここが充血して腫れます。

    涙目や眼やに、目をこする仕草が特徴的な症状です。

口内炎:特に歯と歯ぐきの境目や、のどの左右が赤くなります。

    痛みが強いと、よだれを流したり食事中に痛くてとび跳ねたりします。

 

おうちで個々の症状を把握することはなかなか難しいですが、

顔にある粘膜のほとんどで炎症を起こしますので、子猫と目を合わせたときに、顔が汚れているように感じたり、表情がはっきりしないかなぁと思ったらだいたい猫風邪です。

 

さらにひどくなると気管支肺炎へと進み、40℃近い発熱と深く苦しそうな呼吸、動きが悪いなどの症状が認められます。

この段階まで進むと食欲が無くなってしまう事が多いです。

若い動物は栄養や水分を体に貯める能力が低いため、長く続く食欲不振は危険です。

栄養状態の良い子にとっては「単なる風邪」で済むことが多いのですが、

実際には毎年かなりの数の子猫が、この風邪によって命を落としているはずです。

 

生後2カ月でワクチンを接種してあげる事、風邪の初期から治療を受けさせてあげる事、この2点を守れば命を落とす事態はほとんど避ける事ができます。

 

猫さんの生活環境が多分に影響する病気ですので、初診では少しお話を伺う時間が長くなるかも知れませんが、心配な症状があれば早めの受診をおすすめします。

 

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里子として家族の一員として迎え入れてもらった子、

庭に迷い込んで来てしまい連れてこられた子、

誰かに捨てられてしまった子、などなど・・・

乗り越えなくてはならないハードルの高さは様々ですが、皆一様に必死に生きようと頑張っています。

自身の境遇を嘆く事なく、純粋に食と住を求め続けるその姿は、「生きる」とは何かをもう一度考えさせてくれます。