さびときどききじ

静岡県掛川市の、きたがわ動物病院の獣医師によるブログです。業務とは無関係な記事の方が多いかもしれません。子供3人、猫3匹を養いつつ、木工、庭づくり、料理など、手作りにも果敢に挑戦しています。

ネコさんの肥大型心筋症

こんにちは。

3月に入り、昼間は春の日差しを感じます。

春風に乗って、スギ花粉も派手に舞っているようです。

 

とはいえ、サビ茶はまだストーブの上に粘り強くL字になっています。 

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 キジトラ姉妹も、昼間は自分たちの巣の中でまったりと過ごしています。

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手前のカゴにあるぬいぐるみは、子供の履き古した靴下で子供と一緒に作ったものですが、最初のうちは、子供のにおい(しかも足の)がするのが気に入らないのか、見向きもしませんでした。

ところがいつの間にか、大のお気に入りになったようで、今では、人がいないときにカゴからひっぱり出してあちこち追いかけまわして遊んでいるようです。

今年で10歳になりますが、生き物としての活力を失わせないよう、工夫して過ごさせてあげたいと思います。

 長らく放置していた庭でもは2月末からクリスマスローズが色づきはじめています。

大寒波から株を守ってくれた古く痛んだ葉にお礼を言いつつ、葉を取り除くと一年ぶりの紫色が顔をだしてくれました。

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 スノードロップも・・・

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この透明感のある白い花姿。

数を増やしたいですが、少しだけ咲いているのがいいような気もします。

 

さて、今回は猫さんの心臓疾患の検査についてお話しします。

 猫さんは心臓の病気、特に「心筋症」という病気が好発する動物です。

心筋症とは、心筋(心臓の筋肉組織)の形態や機能が異常をきたす病気です。

心臓が極端に厚くなって内腔が狭くなったり、逆に心臓が拡張したりといった形態の異常が見られます。

また、形態の異常に関連して、筋肉を伸び縮みさせて血液を送るポンプとしての役割が上手くできなくなります。

その結果、さまざまな循環不全や合併症を引き起こします。

 

心筋症にも病態によっていくつかタイプがありますが、ネコさんで最も多くみられるものは「肥大型心筋症」と呼ばれるものです。

肥大型心筋症は、心筋繊維の変性により心筋が肥大した結果、心臓の壁が内側に向かって分厚くなり、中に十分な量の血液を容れられなくなる病気です。

 この肥大型心筋症が家族性に発生する品種として、アメリカンショートヘア、メインクーンペルシャ、シャム、ラグドールなどがあげられています。また、日本では雑種にも多く認められています。

遺伝的な要因で心筋の変性が起きるケースの他、様々な要因があげられていますが、不明な点が多い病気です。

 

さてその診断、治療等についてのお話しです。

心臓の病気は、まず身体検査と聴診です。

高齢のわんちゃんに多く見られる「僧帽弁閉鎖不全症」という心臓の病気は、聴診で心雑音が聞こえたり、わんちゃんの咳に飼い主の方が気付いたりすることで、発見される場合が多く、循環不全の程度に合わせて投薬を継続することで、日常の症状をコントロールして付き合うことができます。

それに比べて、猫さんの肥大型心筋症は、自宅での症状も乏しく、聴診でも異常が認められないことが多いため、無症状のまま進行することが多い病気です。

重度の循環不全や合併症を生じて発見され、治療が難しくなる場合や、突然死が多いことでも有名です。

若齢~高齢まで幅広い年齢層で認められます。

 確定診断には心臓超音波検査が有効ですが、長く拘束される検査のため、麻酔(鎮静)をかけない限りは猫さんには不向きな検査です。

そこでご紹介するのが、血液検査による心臓バイオマーカー「NT-proBNP」です。

「NT-proBNP」は、心臓の筋肉に負荷がかかったときに放出されるホルモンです。

この血中濃度を測ることで、症状として表れていない心臓への負荷をとらえることができます。もちろん、確定診断のための検査ではありませんが、症状に乏しいこの疾患の可能性を探るのには有効だと思います。

 

院内で採血をし、15分ほどで結果が得られます。

猫さんの拘束時間も採血の間だけです(採血が大変な子もいますが・・・)。

定期的な血液生化学検査と一緒にできます。

避妊・去勢手術前の血液検査に組み込むこともできます。

特に、この疾患の好発する品種のネコさんは、定期的な検査をおすすめします。

 

文章であれこれ書くと小難しくなりすぎますので、不明な点は、直接ご相談ください。

 

近年の猫さんブームで、ペットショップで洋ネコさんを購入されるオーナー様も多くなり、病院でも洋ネコさんを診察する機会が多いと感じます。

しかしながら、洋猫さんに好発する病気や予防については、わんちゃんほどの認知度はないのが現状です。

野生の自然交配で生き抜き確立された動物たちとは違い、人為的に作出された品種の動物たちには、生き物の自然治癒力だけでは解決できない問題が生じます。

そのことを十分理解して、人がケアをしていく。

ペット動物と長く幸せな時間を過ごすための、ひとつの心得かなあと思います。

 

 

 

 

 

春の健康診断キャンペーンのご案内

こんにちは。

きたがわ動物病院です。

一時期の凍えるような寒さも収まり、だいぶ過ごしやすくなりました。

外出もしやすくなるなぁとワクワクするのですが、外へでると何となく目・鼻がムズムズ。

スギ花粉も飛び始めているようです。

毎年この時期はこの葛藤に悩まされます・・・

 

さて、本日は健康診断のお話です。

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こちらの検査は、病院で採血をした血液を検査会社に送って調べてもらう

いわゆる「外注検査」というものです。

結果がわかるまでに2週間程度かかるという点がデメリットですが、

病院内で結果がでるまでお待ちいただく必要がありません。

検査料金も院内検査よりお安くておすすめ。

 

この検査でわかることは、人間ドックでの血液検査とほぼ同じです。

肝臓や腎臓、膵臓などが障害を受けていないか調べることができます。

 

この検査だけであれば、ご予約も特に必要はありません。

コレステロールや血糖値の検査も含まれていますので、できれば朝ごはんを抜いてご来院いただけると結果が解釈しやすいです。

 

オプション検査もいろいろと選ぶことができます。

高齢の子たちであれば、甲状腺ホルモンや、腎臓疾患をより早期に検出できる検査項目なども選択できます。

 

見ておきたい検査項目というのは、その子ごとに変わります。

年齢や品種、病歴などを考えてご提案しますので、お気軽にお電話・ご来院ください。

 

話は急変しますが、最近購入したGOODアイテムのご紹介。

キャプテンスタッグというキャンプ用品メーカーの水筒です。

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キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) スポーツボトル 水筒 直飲み ダブルステンレスボトル 真空断熱 HDボトル 1000ml シルバー UE-3371

 1Lサイズなので持ち運びにはちょっと大きいですが、朝お茶を入れておけば、仕事終わりまで適度な温度でいただけます。

子供の頃、親にねだって「魔法瓶」の水筒を買ってもらいました。

少年団や遊びに持っていったものですが、落とすとすぐ割れちゃうんですよね。

 密閉空間でガラスの割れる、あの「カシャーン・・・」っていう音がとっても綺麗で立ち止まるんですが、怒る親の顔がすぐに浮かんで立ちすくむ。

結局しばらく立っている・・・

懐かしい思い出です。

 

この水筒は、頑丈ですので落としても大丈夫(たぶん)。

上の取っ手を持ってプラプラさせていると、まとわりついてくる子供達の頭にクリーンヒットしますので注意が必要ですが、ちびっ子忌避効果は高まります。

 

次回は猫さんの心臓疾患について書いてみる予定です。

 

ノミ・マダニの予防について

こんにちは。

1月は掛川にも寒波が押し寄せ、庭の金魚鉢もスケートリンクのようになりました。

氷をわってみると、厚さは15センチはあろうかというところ。

年に1度は薄氷がはることはありましたが、ここまでの凍結は初めてです。

中の金魚が心配でしたが、子供らによって無事救出されました。

変温動物ってすごい!

 

さて、そうこうしている間にも季節は進んでおります。

動物も植物も、虫たちも春の準備をしているわけです。

近年、ヒトや動物のウィルス感染症の媒介者として有名になりつつあるマダニも、

落ち葉の陰などでひっそりと越冬しています。

春になると活動を開始するマダニですが、掛川では、地域や気温によっては3月中旬頃からマダニがつくわんちゃんが見られます。3月はまだフィラリアの時期ではないので、予防を忘れがちです。昨年3月にマダニがついちゃった...とういうわんちゃんは、今年は3月からの予防をこころがけましょう。

 

春に活動を開始した成ダニは、吸血後1~数か月で産卵をします。そこで生まれた幼ダニが成長して同じく吸血活動を繰り返して成長していきますので、9月~秋頃にはこの若いダニの数が増えます。春だけではなく、秋もしっかり予防しましょう。

また、近年はドッグランなどでわんちゃんどうしの接触の機会が多く、マナーとして年中予防される方も増えています。

 

さて、予防薬について簡単にご説明します。

大きく分類すると、皮膚にたらすタイプ(スポットタイプ)と食べるタイプ(おやつタイプ)のお薬があります。

 

スポットタイプは、月に1度、液体状のお薬を首の後ろの皮膚につけることで、予防をします。薬の成分が全身の皮脂腺に浸透して、皮膚を噛んだマダニを駆虫します。

首の後ろにつけるのをわんちゃんがいやがらなければ、手軽に予防ができます。

デメリットとしては、2頭以上で飼育されている場合に、つけた個所をお互いになめあってしまう可能性があること、また、お薬をつけた後1~2日はシャンプーを控えなければならない点でしょうか。

 

つけるタイプが苦手なわんちゃん、多頭飼育の方、シャンプーの予定を考慮するのが面倒だよという方には、食べるおやつタイプがおすすめです。

フィラリア予防と同じ感覚で、月に1度食べさせるだけでノミ・マダニの予防ができます。デメリットは、スポットタイプより割高であるという点です。

ここ数年は、食べるタイプのノミ・マダニ予防薬も種類が増え、こちらを選ぶ方も増えているように感じます。

前回ご紹介した、フィラリアとノミ・マダニのどちらも1粒で予防できるおやつタイプのものも人気ですね。

 

フィラリア予防とあわせて検討すると、例えば、

フィラリアはおやつタイプ、ノミ・マダニはスポットタイプ」

フィラリアもノミ・マダニもおやつタイプ」

フィラリアは注射で、ノミ・マダニはつけるタイプ」

フィラリアは注射で、ノミ・マダニはおやつタイプ」

などのパターンになってきます。

 

わんちゃんの年齢や生活スタイル、性格にあわせて選んであげましょう。

気になる金額ですが、おおまかに言えば、フィラリア予防薬はおやつタイプが、ノミ・マダニはつけるタイプが一番安いかと思います。

金額やその他の詳細は直接お尋ねください。

 

前回もお伝えしましたが、膀胱炎のわんちゃん、ねこさんの来院が増えています。

排尿の様子に気を付けてあげましょう。

 

春からのフィラリア予防についておさらいしましょう

こんにちは。

 

お正月気分も終わり、寒さに身も心もひきしめられつつ、今年も頑張っていきたいと

思います。

 

さて季節はまだ冬ですが、春からのフィラリア予防について、おさらいがてら

ご案内します。

 

フィラリア症は、蚊を媒介とする寄生虫感染症です。

フィラリアを持つ蚊にわんちゃんが刺されることで、蚊の唾液を通じてフィラリアの子虫がわんちゃんの体に皮膚から侵入します。

フィラリアの子虫は1か月ほど皮膚の下などの組織にとどまり、成長を繰り返しながら血管内へ侵入し、血液を養分として成虫になり、最終的には、わんちゃんの心臓(肺動脈や右心房)に寄生し性成熟して親虫になります。親虫は短めの素麺のような外観です。そのサイズの虫が何匹も心臓に寄生しますと、当然血液の循環に影響を与えますので、循環器系の症状が出ます。

さらに、親虫というからには、血液中に子供の虫を産出します。この子供の虫(ミクロフィラリアといいます)を血液中に持つわんちゃんを、新たに蚊が刺して吸血することにより、その蚊にフィラリアが入ることになります。

こうして、わんちゃんと蚊の間でフィラリアの生活環が成立します。

 

掛川市内では、予防をしていないわんちゃんで、ちらほらとフィラリア症の子が見られますので、是非予防していただきたい感染症です。

 

さてその予防薬ですが、大きく分けて、

①月に1回食べるお薬(おやつタイプ、錠剤)

②1度の注射で予防効果が1年間続く、注射タイプ

③月に1度つけるタイプ

 があります。

それぞれについて、簡単にご紹介します。

 

①は、最も多くの方が選ばれる予防方法かと思います。

「月に1度」を12月まで忘れずに続けられる方には、手軽でおすすめです。

 内服タイプには、様々な種類のお薬が発売されています。

ノミ・マダニの予防成分も含まれているものも数年前から発売されており、人気があります。こちらに関しては別項にてご紹介していきます。

 

②の注射タイプは、①を与え忘れてしまう方におすすめです。

数年前の発売から、年々打つわんちゃんも多くなったかと思います。

注射ですので、以下にお伝えするように注意点がいくつかあります。

 

*若齢または高齢のわんちゃん、持病の有無によっては打てない場合もありますので、ご相談ください。

 

*注射の場合、他のワクチン(混合ワクチン、狂犬病ワクチン)とは4週間ほど間隔をあけることが理想ですので、ご自分のわんちゃんの注射の流れを一度確認しておきましょう。

例えば、「フィラリア予防は4月、狂犬病は5月、混合ワクチンは6月」のように、流れを確認しておくといいと思います。

 

*混合ワクチンや狂犬病ワクチンは年間をとおして接種ができますが、フィラリアの注射は、製剤の特性上、当院では春の短期間のみ接種を受け付けています。

フィラリア予防の注射を希望される場合は、この間に他のワクチンより優先して打つ必要がありますので、やはり予防接種の流れをよく把握しておきましょう。

 

③のつけるタイプは、主にネコさんのフィラリア予防に使われています。

わんちゃんにも使えますが、フィラリアの予防だけを考えると金額的には割高になりますので、メジャーな方法ではありません。ただ、注射や内服を嫌がる子には、おすすめです。

 

ここまで、予防の方法についてお話しました。

おおざぱに言えば、「月に一度の内服か、注射か、またはつけるタイプか」の選択をまずしていただくといいです。

 

多くの方が選ばれるのが、①の内服タイプになるかと思いますので、内服薬のタイプ

についてお話しします。

内服薬は、大きく二つにわかれます。

ひとつは、フィラリア予防だけのもの、もうひとつは、フィラリア・ノミ・マダニ全てを一度に予防できるオールインワンタイプのものです。

 

いろいろなお薬が発売されていますが、当院で常時扱っているお薬をご紹介していきます。

 

 

まずは、フィラリア予防だけのものです。

一番メジャーなお薬は、お肉タイプのものです。

こちらはフィラリアとお腹の虫(回虫、鈎虫)の駆虫ができますが、主にフィラリアの予防薬としてメジャーなお薬です。余談ですが、駆虫成分のイベルメクチンは、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智先生が静岡県のゴルフ場の土壌菌から発見したことで話題となりましたね。イベルメクチンは、ヒトの病気以外にもワンちゃんの感染症予防にも重要な役割を果たしています。

 

 その他、錠剤タイプもあります。錠剤が確実に飲める子であれば、金額的にも安いのでおすすめです。

 

 

次に、ノミ・マダニの予防もできるオールインタイプのお薬をご紹介します。

 

こちらは、フィラリア・ノミ・マダニの予防効果が一粒にまとめられているお肉タイプのお薬です。

ノミ、マダニはつけるタイプのお薬で予防することが多いですが、フィラリア薬をあげて、ノミ・マダニ薬をつけて・・と手間が増えると大変だと感じる方にはおすすめです。多頭飼育の方、つけるタイプを嫌がるわんちゃんにおおすすめです。

 

 

フィラリア症は、わんちゃんの感染症の中でも是非予防していただきたい病気です。

冬の間に、春からの予防について整理しておくといいですね。

なんだか頭がこんがらがって・・・という方は、ご相談ください(笑)。

 

 

フィラリアと併せて予防したい寄生虫として、ノミ・マダニがあります。

特にマダニは近年ヒトの感染症の原因としても有名ですね。

お散歩で草むらによく入る子、ドッグランやほかのわんちゃんとの接触が多い子などは、予防をすることをおすすめします。

マダニの予防は、春先の気温にもよりますが、近年では掛川では3月中旬頃から発生が見られています。3月はつい予防をわすれてしまいがちですが、フィラリア予防よりも先にマダニの予防が必要なエリアもありますので、気をつけましょう。

マダニの予防については、次回に掲載したいと思います。

 

1~2月は、猫さんで膀胱炎や尿路系の疾患での来院が増えます。

お水を飲む量や、排尿量や排尿の様子におかしなことがないか、気をつけましょう。

 

 

 

 

 

 

1/8(月)は午前中のみの診療です。

あけましておめでとうございます。。

本年も皆様にとってよき年となりますよう、お祈り申し上げます。

 

1/8(月)は、都合により午後は休診となります。午前中は12時までの診療

ですので、ご注意ください。

急な変更で申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

 

 

年末のお休みに、家族で新江ノ島水族館へ行ってきました。

たくさんいた海の生き物の中で、院長が感銘を受けた生物はこちら。

 

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コウイカ

体長20センチほど。

日本の水族館にいながらも、この地球外生命体っぷりが素敵です。

 

名古屋港水族館ほどの規模はありませんが、その分ひとつひとつの水槽をじっくり

眺められるので、勉強になります。

 

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お正月明けは、消化器症状のワンちゃんが多く来院しています。

人の出入りが激しく、普段と違う食べ物を食べる機会が多くなりますので、

嘔吐や下痢が出ることがあります。

症状が数日間続く場合や、食欲が極端になくなる場合などは受診しましょう。